眼鏡

あの人の記憶。

キリッとした眉。
筋張った腕。
低くも高くもない、
ちょうどいい声。
それで脳を揺らした
「さよなら」。

いろいろ思い出せた。
温かく、少し青白く、
歪んだ視界の奥で
あの人のことを
沢山思い出した。

月が何度も空を回った。
心に追わせようと
絡みつく思考を捨てて
何度も努力した。
それでも瞼は重かった。

朝は突然やってきた。
まるで運命のように
赤色の足音が私に近づく。
見えづらかった視界は
嘘のように澄んでいった。

いまとなって
思い出せるのは
やけに赤縁が目立った
眼鏡だけ。

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